DORIAN CONCEPTとか、2009年もお世話になりました!
2009年もお世話になりました。
海外はもうクリスマス休暇です。多くのレーベル関係者が年末まで休みに入ってしまうこともあり、この時期の緊急案件は、通常以上の困難に陥ることもしばしば。という難関を切り抜け、THE DRUMSも無事にUKを出たみたいなので、それさえ到着すれば、我々もほっと一息つけます。
雑誌等でも年間ベストが色々と出てきてますね。ということで、ザックリとですが、P-VINE輸入盤チームでも、2009年の主だったトピックを振り返ってみたいと思います。
まずはクラブ系から。
セールス的には「ベスト」とまではいきませんでしたが、秋口に来日もあり、地道に売れ続けているのが、Kindred Spiritsの新人Dorian Conceptであります。ポスト・フライング・ロータスの呼び声も高い、オーストリアが生んだ次世代ビートの至宝。とてつもなくコズミックで、複雑なんだけど、単にドープというのとも違うし、意外とファンクだし。勝手ながらコヤツのアルバム『When Planets Explose』を個人的年間ベストの一位に推挙させていただきます。
そしてRADIO SLAVE。再来日も目前ですが、彼のレーベル<Rekids>の太っ腹三枚組コンピレーション『Rekids Revolution』は、彼(ら)の過去、現在、未来が交錯するナイス・セレクションで、ロングセラーとなっています。
大御所系ではLOUIE VEGAの『Dance Ritual』。これも鉄板でした。こういうのが売れてくれると、安心します!オシュンラデの手により新たな息吹が吹き込まれたAFEFE IKUのキラー「Mirror Dance」からはじまるこの三枚組みのミックス集は、所々に旧音源も効果的に盛り込みながら、現在進行形のホットなダンスフロアをパッケージ化した全クラブ・ミュージック・ファン必携の一枚。
THE JUAN MACLEANと共にスタートしたDFAのリリースも、弊社としては大きなトピックのひとつでした。LCD SOUNDSYSTEMでオナジミのこのレーベルは、KITSUNEやED BANGERなどとはまた趣を異にする、独自路線のダンス/ロックのクロスオーバーを体現するレーベルとして、多くの熱心なファンによってサポートされています。国内盤化されたJUANに負けじと話題になったのが、女子ボーカルを迎え入れた新生YACHTによるアルバム『See Mystery Lights』!LCDとHOT CHIPをイイトコ取りして増幅させたかのようなキラメキ・ダンス・ポップ、でもヒネりがきいていて、中毒患者続出中っす。
そんなDFAとも共振するようなユニークなグルーヴ感で存在感を増しつつあるのが、北欧ノルウェーの小さなインディ・レーベル<Smalltown Supersound>です。いわゆる「エレクトロニカ」的な文脈からスタートした同レーベルですが、ここ二年ほどはダンス路線へのシフトが顕著で、TUSSLEやLINDSTROM、DISKJOKKE、そしてEYE氏のLIFT BOYS名義の12"リイシューなど、本当に面白いリリースが続いています。2010年明けてスグにも、CHRISTABELLEとの共同名義によるLINDSTROM初のボーカル・アルバム『Real Life Is No Cool』がありますが、今年はなんといっても、MUNGOLIAN JET SETでしょう。彼ら自身の音源、それからリミックスの外仕事をまとめてコンパイルした『We Gave It All, Now We're Taking It All Back』(タイトルも意味深!)は、針の穴を通すような究極のピンポイント爆撃で、世界各地(の一部)で、話題沸騰でした!DJ Strangefruitによれば「来年はプロパーなアーティスト・アルバムがある」とのことで、引き続き目が離せません。
ジャズ系の新録モノではダントツでKINDRED SPIRITS ENSEMBLEが、アツかったですね。ジョン・コルトレーンの生誕80周年を祝して結成されたという彼らのデビュー・アルバム『Love Is Supreme』(タイトルも直球!)は、「The Creator Has A Masterplan」や「Naima」を筆頭に、クラブ・ジャズ・リスナーにとって馴染みの深いスタンダード曲のカバーを中心とした構成で、多くのファンのココロをつかみました。BUILD AN ARKの新作『Love』と並ぶヒットですね。
旧音源の再発、発掘は、相変わらず<JAZZMAN>や<SONORAMA>の天下でした。とりわけ、ヨーロピアン・ジャズの最高峰『Fly To Brasil』で知られるWALTER STRERATHの『Trio Quartet Quintet』は、『Fly To~』の名声もありましょうが、このアルバムだけで見ても申し分のない内容で、実際によく売れました。
それから、意外と売れたのが、NATHAN DAVISのJAZZMANからの編集盤『'65-76』です。P-VINEでもかつて国内盤として『イフ』を再発、ロングセラーになりましたが、コチラはその抜粋的なコンピレーション。「もうみんな持ってんじゃないの?」というモノなのですが、裾野は思った以上に広いみたい。「Tragic Magic」は永遠の名曲です。『イフ』をお持ちでなければ、是非この編集盤で。
そしてJAZZMANの今年一番のヒットと言えば、RICARDO MARRERO。ラテン/サルサ・ファンのあいだでも人気のヒトですが、彼の名前をレコ掘りたちに知らしめたのが、レア皿の真骨頂とも言える究極の一枚『A Taste』です。色々とキナ臭い、いわくつきの作品でしたが、満を持しての再発。案の定、爆発です。
もう一枚、こちらはMR BONGOモノですが、クラシック・ブレイク「Heaven And Hell」収録の20TH CENTURY STEEL BAND『Warm Heart Cold Steel』も、RICARDO MARREROと並ぶホットなリイシューです。中古でも決して高価なブツではないのですが、ポピュラリティーという意味では、RICARDO MARREROよりも、こちらに軍配が上がるかもしれません。
US3も、忘れてはいけません。いまだ現在進行形の元祖ジャズ・ヒップホップ、その生の姿を拝みたければ、年末年始は横浜のモーション・ブルーへ、是非足をお運びください!
ジャズ番外地ではTHE THINGの新作『Bag It!』も、スバラシかった!アウト・ジャズ、とでも言うんですかね。ジャズ・ロックではないと思いますが、でもロックするジャズ…。ノルウェイが世界に誇る超絶ドラマー、ポール・ニルセン・ラヴ、ブッケ・ヴェッセルトフトのベーシストとしてもお馴染みのインゲブライト・フラテン、そしてソニック・ユース~ジム・オルーク関連のコラボでも素晴らしいブロウを披露するスウェーデン人サックス奏者のマッツ・グスタフソンの三人からなるジャズ・トリオの新作、今回はスティーヴ・アルビニのエレクトリカル・オーディオ・スタジオでレコーディングを敢行、ミックス&マスタリングがシェラックのボブ・ウェストンという新たなポイントも。
続きましてソウルですが、再発系は、KENTの独壇場ですね。SOULSCAPE(ex GRAPEVINE)も頑張ってますが、なんといっても地力が、違います。OVATIONSの『Hooked On A Feeling / Having A Party』や、二枚組の『The Complete Goldwax Singles』など、ゴールドワックス関連のリリースはいずれも快調です。
変わったところでは、JAZZMAN音源をJ-Roccがミックスした『J-Rocc Vs J-Man』というのが、面白かった。いまさらJ-Rocc、なーんて言わないで!ネットを回遊していると、ミックスものなんていくらでもフリーでDLできちゃう世の中ですが、これは是非とも。
ソウルやヒップホップの新録系は、数は多くないですが、キラリと光るものが、多かった。グラミー・ノミネートのERIC ROBERSON『Music Fan First』、私も思わずジャケ買いしてしまったDAVINA『On Some Real』、そして昨年のリリースながら、現在も異常に売れ続けているDJ AK『Sound Of Tha Tube』とか。特に、AKのロングセラーっぷりは、尋常じゃないです!
ロックだと、去年の『Sunlight To Blue...Blue To Blackness』が現在も引き続き売れ伸びているTHE DURUTTI COLUMNの、文字通りにファクトリーの4作を集め、未発表を加えたファン垂涎のボックス・セット『Four Factory Records』、それからアントニーやルーファス・ウェインライト、キース・リチャーズら、ゲストも豪華なMARIANNE FAITHFULLの新作『Easy Come Easy Go』、マドンナのプロデューサーとして注目を集めた(おそらく、次の新作も彼がプロデュースとのウワサ!)スチュアート・プライス率いるZOOT WOMAN『Things Are What They Used To Be』とかとか。
特にMARIANNE FAITHFULLは、輸入盤のみの取り扱いの2CD+DVDバージョンというのが、ございまして、コアなファンの方にはコチラも是非に、というカンジです。
以上、駆け足ですが、2009年総括でした。
来年も宜しくお願い致します。
(K)
ラベル: CITIZEN, CLUB, CLUB JAZZ, DFA, JAZZ, JAZZMAN, KENT, REKIDS, ROCK, SMALLTOWN SUPERSOUND, SONORAMA, そのほか, そのほか、年間ベスト
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