5/31/2006

THE NEW YORK SOUND



イギリスの良盤発掘レーベルBGPより ロフト/ガラージ・エレクトロ・クラシックス満載、ポスト・ディスコ時代のニューヨーク・アンダーグラウンドの真髄を一枚に集約した強力コンピレーションが登場です!!!


間もなくの刊行となる『パラダイス・ガラージの時代 ~ NYCクラブカルチャー・光と影』や、Soul JazzのTom Moulton Mix企画盤、そしてRhinoの『Journey Into Paradise: Larry Levan Story』などによって再び大きな脚光を浴びつつあるニューヨークのクラブ・シーン黎明期。そんな絶好の追い風を受けて、極めて素晴らしい内容のコンピが発売となります!


現在のいわゆるクラブミュージックとされるHIPHOP、HOUSE、TECHNO…それらのルーツとも言える音楽がこの頃のニューヨークサウンドではないでしょうか。VANGUARD、SPRINGといったニューヨークのレーベルを中心にコンパイルした全10曲。AFRICA BAMBAATAから現在のデトロイト・ミュージックまで流れるサウンドのエッセンスがここに詰まっています。


【TRACK LIST】
1.Love Hangover - THE PLAYERS ASSOCIATION
もともとスタジオバンドだったTHE PLAYERS ASSOCIATION による1977年リリースの“Love Hangover”はディスコのルーツとして知られています。ジャズに影響を受けたディスコ・ファンクで現在でもフロアで人気が高い一枚です。Michael Brecker、David Sanborn、Joe FarrellそしてMtumeらも参加、心地の良いフルートのフュージョン風の曲から、ディスコ風に変わる曲調はコンピレーションの1曲目にふさわしい1曲でしょう。

2.Charley Says (Roller Boogie Baby) - KING TIM III
Q1.最初のヒップホップのレコードは?
と、聴かれると多くの人はSuger Hill Gangの“Rapper's Delight”と答えるでしょう。しかしFATBACK BANDの“(King Tim III)Personality Jock”が最初というのが現在の定説です。
それではQ2.そのKing Tim IIIとは?
King Tim IIIは“(King Tim III)Personality Jock”でラップしている人の名前です。で、今回の“Charley Says (Roller Boogie Baby)”のアーティストがまさにその人なんです。1979年にリリースされたこの曲はFATBACK BAND演奏のホーンが特徴のディスコ・ファンク上でKing Tim IIIがラップするという同じ形ですが、King Tim IIIの声はこの2曲でしか聴けません。当時のNYのローラー・ディスコ・フィーバーを歌ったヒップホップルーツと言えるでしょう。

3.It Ain’t No Big Thing - RAINBOW BROWN
ガラージ・クラシックとしても人気の高い“It Ain’t No Big Thing”のRAINBOW BROWNによる1981年のカバー。PERSONAL TOUCHやDONNA McGHEEのバージョンが有名ですがRAINBOW BROWNのこのバージョンは非常にレアです。歌っているのはなんとM?でも人気のあるFONDA RAE!RAINBOW BROWN自体1枚のアルバムで解散してしまったのですが、それが悔やまれる程のナイス・カバーです。ちなみにこのバージョンはシングルは存在せず、LPのみのリリースとなっていました。

4.(You) Keep Making Me Hot - BUSTA JONES
ROBERT FRIPPやBRIAN ENOと競演していたべーシスト・BUSTA JONES。彼の唯一のアルバムからのシングル曲“(You) Keep Making Me Hot”はゆったりしたブギー調のディスコナンバーです。彼はサンプリングのパイオニア・アルバムDAVID BYRNEとBRIAN ENOの『My Life In The Bush Of Gohst』にも参加しています。

5.Over Like A Fat Rat - FONDA RAE
CAROL DOUGLASのバックシンガーやM?でのリードボーカルを務めてきたFONDA RAEの最も有名な曲“Over Like A Fat Rat”。ダンス・クラシックの名曲として現在でもオリジナルの中古盤は高値で取引されている人気盤です。太いピアノのリード・グルーヴとエコーのかかったハンドクラップが特徴的なフロア・キラー!!この曲はSUN RAからMANTRONIXまでレコーディングしてきたBOB BLANKによるプロダクション、LEROY BURGESSのアレンジも折り紙付の一曲です。ERIC B AND RAKIM、DE LA SOULにもサンプリングされている曲としてお馴染みでしょう。

6.Is This The Future? - FATBACK
名機Oberheim DMXのドラムサウンドとP-FUNK風なベースラインにアナログ・シンセサウンド。スペーシーなディスコファンクの“Is This The Future?”。1983年リリースのこの曲は同じFATBACK でもM?とは全く異なるスタイルでポップミュージックとソウルミュージックの融合がこの時代の特徴でもあります。後に発展するハウス、テクノのルーツとも言える一曲です。ちなみに同じ年にデトロイトでは若きJuan AtkinsがCybotron名義でデビューしていることから、その時代背景が伺えます。

7.Long Money (Dollar Bill Y’all) - JIMMY SPICER
70年代から80年代にかけて初期ヒップホップシーンでDEF JAMなどから多くのシングルを残したJIMMY SPICER。ストーリー・テラー・ラッパーの先駆者でもあります。RUSSELL SIMMONSプロデュースによるLong Money (Dollar Bill Y’all)は幾多のヒップホップ・クラシックでサンプリングされつづけている「Dollar Bill Y’all」というフレーズが既聴感を持たせます。硬質なドラムマシーンの遅めのビートの上でJIMMY SPICERのオールドスクール・マナーのラップが乗っかります。この曲でもう一つ特筆すべき点はマドンナのプロデューサーとして知られるJOHN"JELLYBEANS"BENITEZがミックスを担当していることです。JIMMY SPICERは85年にはテレビ番組でキース・へリングについてラップしたことでも有名なアーティストです。

8.Electric Kingdom - TWILIGHT 22
マルチ・インストゥルメンタリストGORDON BAHARYによるプロジェクトTWILIGHT 22によるエレクトロ・クラシック。AFRICA BAMBAATAの“Planet Rock”にも通ずるドラムマシーンとシンセサウンド満載のバキバキのエレクトロです。GORDON BAHARYはなんと10代でシンセサイザー担当としてあのSTEVIE WONDERの『Songs In The Key Of Life』、『Journey Through The Secret Life Of Plants』にも参加していることから、その才能が計り知れるでしょう。また、HERBIE HANCOCKの“Feets Don't Fail Me Now”にも参加しています。

9.Wired For Games - C BRAND
ほぼ無名なアーティストC BRAND の1982年にリリースされた“Wired For Games”はベースとギターとピアノのメロディが絡み合うように始まります。ソウルフルなストリングスと男性ボーカル、子供の声のようにエフェクトがかかったフック、ダウンテンポのファンキーな四つ打ちの曲でさながら初期テクノのようです。この曲もクラブシーンでは高く評価され続けている曲です。

10.Rockin’ It - MC FLEX AND THE FBI CREW
ソリッドなエレクトロトラックにオールドスクール・マナーの掛け合いラップとスクラッチの入ったこの曲は、マイアミ出身のMC FLEX AND THE FBI CREWのアルバムからの唯一のシングルカット“Rockin’ It”。プロデューサーはAMOS LARKINS。MC ADEとともにマイアミ・ベースのパイオニア的存在です。名機TR808の太いビートにシンセサウンドがオールドスクール・エレクトロらしいこの“Rockin’ It”もまさにプロトタイプのマイアミ・ベースと言えるでしょう。ニューヨーク産のエレクトロが彼らの故郷マイアミに渡り、より進化しマイアミ・ベースへと発展していきました。

(T)