4/21/2010

『BSR』誌ではジェラルドのインタビューもアリ、英JAZZMANの『カリフォルニア・ファンク』がいよいよ発売!




テキサス、ミッドウェスト、フロリダ、キャロライナと続いた英<JAZZMAN>のご当地ディープファンク発掘巡礼の旅は、遂に光り輝くファンク・ゴールデン・ステート、カリフォルニアに突入!『カリフォルニア・ファンク』、いよいよ本日発売です。


4月25日発売の『BSR』(BLUES & SOUL RECORDS)誌では、レーベルのボスであるジェラルドへのインタビューも敢行、このシリーズの貴重な秘話や裏話をアレコレ、まとめてディグっとりますので、雑誌のほうも、是非ご覧ください。次はどこの地域なんでしょうかとか、そういうハナシも。


写真はトラックリストの冒頭を飾る人種混成バンドのWater Color。どこ見てるんすかねぇ…。せっかくなので、ライナーノーツを一部抜粋してご紹介しましょう。


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リック・ワイルドと彼の弟は、60年代の後半、主にラジオ用の音源やジングルを手掛けていた有名なセッションマンだった。様々なスタジオを出入りしながらキャリアを重ねるうちに、たくさんの機材が揃ってきたので、古い教会の建物を改造し、自らのスタジオを作った。自分たちの自主レーベル、ラブ・レコードで約15枚のシングルと3枚のフル・アルバムを、リリースした。このレーベルの作品はいずれも希少価値が高く、コレクター筋では有名だ。

ワイルド兄弟はサクラメントのメトロというクラブによく出演した。リックが初めて人種混合R&Bバンドのウォーターカラーに出会ったのは、そのメトロだった。ウォーターカラーはオーク・パーク芸術学校でオスカー・ロビンソンの音楽クラスに在籍していた学生たちによるバンドだった。ライヴのステージでは、サテンのローブやフリンジのついたシャツ、フライトパンツ、厚底の靴やカウボーイハットなどで着飾った。メトロで毎週、定期的に演奏していた。ワイルドは回想して、次のように述べた。「ある夜、セッションのあとバー・カウンターで軽く飲んでいたんだ。リトルジョンが話しかけてきて、レコードを作りたいと言った。バンドは色々と問題があったけど、演奏は素晴らしかった。金曜の夜、彼らがやってきて、彼らの演奏を見た。シンガーの女性も素晴らしかったので、すぐに日程を決めてレコーディングしたんだ。」

ディープでダークなベースラインと重く引きずるようなドラムからはじまる「All Bundled Into One」は、絶妙な声のコーラスと共に、天国へと誘われる。不吉なサウンドは、人間の善悪は表裏一体であるという歌詞ともよくマッチしている。当時のリトルジョンの心を反映させた曲だった。ベースのジョーが説明する。「このバンドは彼のプロジェクトで、彼がリーダーだった。とても敬虔な心を持っていたけど、他方で型にはまらない自由な人物でもあった。」リトルジョンは、子供がいたにも関わらず定職を持たず、レコードをリリースしようとしていた。その資金も、彼のものだった。「音楽で事態を打開しようと思っていたんだと思う。」ジョーは振り返る。レコードのプレス代も、リトルジョンが準備してワイルドに提供したのだった。投資を回収しようとして、あらゆる方面にセールスをかけて頑張ったが、正式な流通網もなかったし、ラジオでもかからなかったので、結局何も起こらなかった。「地獄ですら全くノー・チャンスだったね。」ジョーは残念そうに言う。実際、コレクターのあいだで、この一枚のシングルが知られているにすぎないのだった。



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長大な英文ライナー(日本盤は対訳付)も読み応えタップシです!是非に!




www.jazzmanrecords.co.uk/


(K)

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