2/05/2010

オランダ版「フェンダーローズに愛された男」ほか、ヨーロピアン・ジャズ注目盤ピックアップ!



ジャズの注目盤を2タイトル、ピックアップしておきます。

ジャケ左: ROB FRANKEN "Fender Rhodes"

ロブ・フランケンというキーボード/オルガン奏者の名前だけを聞いてピンとくる人は余程のジャズ通でしょう。でも、澤野工房からのリイシューで知られるクラウス・ヴァイス(ds)・トリオの名盤『Greensleeves』でピアノを弾いている人、もしくはレア・グルーヴ・シーンでも人気の高いフリーチャ・カウフェルトの名盤『And Let Music Play』でオルガンを弾いている人、と言われればジャズ・ファンなら誰でもうなづくはず!

オランダに生まれながら、ドイツのシーンなどでもその腕を買われ60年代から70年代にかけて広く活躍したピアニストがロブ・フランケン。42歳で夭逝した彼の存在は、ハーモニカの名匠トゥーツ・シールマンスのバンド・メンバーとしても有名。「ロブからはたくさんのことを学んだ。ロブがいなかったら私はもっと違ったスタイルで演奏していたかも知れない。」とシールマンスは述懐しています。

このコンピレーションは、不遇のキーボーディストであったフランケンのフェンダーローズ・プレイに焦点をあて、オランダの音楽資料館に眠る数多の音源の中から、国営ラジオでの生ライヴ録音など、全て未ディスク化の音源で編まれています。フランケン・トリオの演奏を中心に、ダブル・キーボード編成の“ザ・キーボード・サークル”、そしてトゥーツ・シールマンス、クラーク・テリー、ジミー・オーウェンス等大物ジャズマンのサイドでの演奏まで収録しています。

ジャケ右: WOLFGANG SAUER "Sweet Und Swing"

まさに“知られざる”という表現がぴったりのドイツ人男性歌手/ピアニストが1959年にリリースしたヴォーカル+ストリングスによるスタンダード・ジャズ曲集。独Electrolaレーベルからリリースされたオリジナルはごく少数(数十枚?)しか流通されず、以降50年にわたってリプレス、リイシューされる機会もなかったらしく、最近になって“発掘”されたオリジナル・コピーを使ってやっとこのリイシューが実現しました。

ウォルフガング・ザウアーといえば50年代のドイツで一世を風靡した盲目の男性歌手/ピアニスト。彼がストリングス・オーケストラをバックに「スターダスト」「マイ・メランコリー・ベイビー」「バークリースクエアのナイチンゲール」などのアメリカン・ジャズ・バラードを朗々と歌い上げるスタンダード・アルバムです。極めて男性的な深度と重低音の渋みに溢れるバリトン・ヴォイスは、例えるならジョニー・ハートマンやナット・キング・コールのドイツ版といった趣きでしょうか。

これまでその存在すらほとんど知られていなかったメガ・レア・アルバム。ジャズ・ヴォーカル・ファン、ジャズ・ファンならぜひ一度耳にしてみてください。オリジナル・ジャケットでのリイシューです。


(K)

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