2/21/2007

WAXING DEEP


このたびPヴァインがパートナーシップを結ぶことになりました新しいレーベルを紹介させていただきます。

カナダはニューブランズウィックを拠点とする新興レーベル<Waxing Deep>は、古きよき時代のヴィンテージ音源をこよなく愛するヴァイナル・ジャンキーたちのための注目の新進勢力です。このたび初めてのリリースとなる『シ・パラ・ウステ』(PCD-17104)を発表、キューバの国営レーベルである<Egrem>に遺されたファンキーなグルーヴばかりを拾い上げた驚きの選曲が世界各地で話題沸騰中!Soul JazzやHonest Jonsのカナダ版的な存在となれるのか!?

注目のレーベルのオーナーであるDanに話を聞くことができましたので、簡単に紹介させていただきます。

Q: はじめに、すごく基本的なことですが、誰がこのレーベルを立ち上げたのでしょうか。また、何人くらいのスタッフがいるの?

A: レーベルとしての活動をスタートさせたのは僕自身で、まだまだ小さなレーベルだから他にスタッフはいないんだ。僕ひとりで、全てこなしている。

Q: ウェブを見ると、色々なことをやっているように見えますが…、その活動の軸は、レーベルということでいいのでしょうか?やはりキューバやラテン音楽が、一番の関心なのですか?

A: Waxing Deepは実は元々ウェブ・ラジオからスタートしたんだ。元々僕はヴィンテージ・ヴァイナルのディーラーで、そのプロモートのために、ラジオでの販促を開始した。それが全ての始まりだった。レーベルは、ラジオでやってきたことを、CDという別のフォーマットに収めた、そういう感じかな。

みんなそうだと思うんだけど、こういう昔の音源が好きな人って、特定のジャンルだけじゃなくて、色々な種類のものを探求しているよね?僕も自然とそういうスタンスになっていったから、別に今回のCDに収められているようなラテン音楽ばかりを掘ってきたわけではないんだ。でも、ラジオで様々なタイプの音楽を紹介してきた中で、ヴィンテージのキューバをかけると、とてもたくさんのフィードバックがあったんだ。そこで、キューバで一枚CDにしてみたら、売れるんじゃないかと、思ったわけさ。

これまではラジオのほうが中心だったけど、今後はもっとレーベルの活動にシフトしていくと思うよ。CDを通してより多くの新しい人々に<Waxing Deep>とうブランドを認知してもらえるようになっていくと思うし、レーベルとしても頑張らないとね。

Q: ウェブ・ラジオということは、リスナーは世界中?また、カナダのラテン・コミュニティって、どういう感じなのでしょうか?

A: イエス。特に今回のCDについても、カナダだけで商売しようと思ったら、正直なところ厳しいと思う。カナダのラテン音楽はまだまだニッチなマーケットだから。1000枚売れれば大成功と言えるくらいの、小さな市場しかない。でもインターネットを通して世界中のリスナーの声を聞くことが出来て、確実にラテン熱は高まっていると感じた。だからCDリリースに踏み切ることができたんだ。

勿論カナダにもラテン・アメリカ諸国からの移民がいて、モントリオールやトロントの中心部には彼らのコミュニティが存在する。でもマイアミやニューヨークと比べると随分と小さなものだよ。でも今回のCDに入っているミュージシャンも何人か、トロントに移民で来ていたりもするんだよ。

Q: レーベルの今後について教えてください。

A: まずは『シ・パラ・ウステ』をしっかりと売って、その第二弾につなげられたらと思ってる。Egremにはまだまだ秘宝ともいえる楽曲がたくさんあるからね。全体的な方向として考えているのは、今となっては入手困難となってしまった音楽を、ジャンル問わず発掘していきたい、ということ。

実は60年代から70年代にかけてケベックのマイナー映画で使われた音楽のコンピレーションというのも、予定している。あまり一般的には知られていないけど、当時のインディペンデント・フィルムのBGMは、結構ヤバい。ファンクやサイケ、ジャズなど、どれもかなりのクオリティなんだよ。実は日本のリスナーからは、そういったサントラ音楽について、定期的に問い合わせがあるんだよ!

Q: イベントのオーガナイズとかは、しないのですか?

A: 昔モントリオールに住んでいたころは、レギュラーでイベントを打っていた時期もあったけど、いまは<Waxing Deep>としてウェブ・ラジオやレーベルに専念している感じかな。

Q: 今回のコンピの話に戻りますが、Egremとの交渉は、簡単に進みましたか?キューバの国営レーベルなどと聞くと、とてもお堅いイメージを想像してしまうのですが。

A: そうだね。まるで堅物の役人と話してるような感じだったよ。政治体制も社会状況も違うし、まずは共通の土台に立つことすら難しかった。交渉は困難を極めたよ。共産主義ということもあるかもしれないけど、外界に対するアクセスが限られているせいか、外の世界に対する認識自体が、全く異なるように感じられた。でも、この次もまた彼らとは仕事ができると思うよ。第二弾を期待して待っていてほしいな!

ということで、まだまだ出来立てほやほやのレーベルですが、今後の動向にご注目ください!

http://www.waxingdeep.org

http://www.myspace.com/waxingdeep

V.A./シ・パラ・ウステ(PCD-17104)は5月3日発売予定です。

(N)